みなさん、おはようございます。
Smithです。スミスでいいです。
ユヴェントスがコッパ・イタリアで優勝した直後、この感傷的な気持ちをぶつけるように書き始めました。
試合はご存知、ヴラホビッチのゴールで先制した後、ペリンを中心として自陣ゴールに鍵をかけたユヴェントスはアタランタの猛攻とマレスカを始めとする審判団の嫌がらせに耐えながら、見事トロフィーを掲げることができました。
何よりも90分を超えた頃に行われた、アッレグリのジャケット芸は見る人に感動と笑いを届けたことでしょう。
カンビアーゾは両手を叩き、シュチェスニーはニヤニヤしながら伝統的な振る舞いを見てました。
不仲説が囁かれたキエーザもレッドカードがアッレグリに提示されたときには、隣で全く同じリアクションを取っていましたね。
思えば今シーズン、アッレグリは開幕当初から2つの目標を掲げていました。
①来シーズンのCL出場権獲得
②コッパ・イタリア決勝進出
※コッパについては途中から優勝に変わったように見受けられる。
これらをブレることなく言い続け、途中心が折れそうになりながらも達成したことは高い評価に値すると思います。
特にインテルに敗れた後、チームの状況は最悪だったのではないでしょうか。
若いチームは希望を打ち砕かれたとき、必要以上に自分たちの居場所や立ち位置を見誤ってしまったのでしょう。
その中でも、ひたすらに同じ目標を説き続けたのは、チームにその目標は達成できるものだと植え付けたかったからのように思います。
現場首脳陣はこの3年という期間で、若く、野心あるものの不安定な選手たちをよく支えました。
「若い」と表現するよりも、「幼い」選手たちを預かり、クラブのアイデンティティを盾に彼らを導くという仕事の困難さは想像を絶するものでしょう。
振り返ると、初年度は開幕直後にエースのロナウドが退団、やってきたのは教え子であるキーンでした。
2年目は自身を呼び戻した経営陣が総辞職、経営問題の煽りを受け、積み上げた勝ち点を剥奪。翌年のCL出場権を奪われました。
3年目は怪我から復帰し掛けていたポグバと前年最優秀若手賞のファジョーリを失いながらも、翌年のCL出場権とコッパ・イタリアを勝ち取りました。
そんな彼らを率いつつ、「勝利は彼らのもの」として、セレモニーの後に一歩引いたところから、喜ぶ選手たちを見ていた姿は涙腺にくるものでした。
Next Gen出身者のような、若い選手たちにとって、苦しみながらも獲ったトップコンペティションのタイトルは、これからも彼らのメンタルを支え続けることでしょう。
報道を見る限り、アッレグリがユヴェントスを率いるのは今シーズン限りのように思います。
アッレグリは試合終了後のセレモニーでジュントーリとの抱擁を拒絶し、会見ではクラブ首脳陣や記者たちに不満の態度を隠すことはありませんでした。
この態度を受けて、クラブはアッレグリを訴えたり、早期の解任を迫ると言った報道が出ており、ぼくは悲しい限りです。
第1次政権から足掛け10年、このクラブはアッレグリと時間を共にしました。
個性の強い監督であることに間違いはありませんが、クラブの黄金期を築いたり、崩れかけたクラブの矢面に立ち続けたりと敬意を払うに値する結果を見せてきたはずです。
特にこの3年間のクラブに対する献身は目を見張るものだったと思います。
戻ってきた当初のアッレグリは発言の節々に「自分もクラブ経営を担っている」という自負がありました。
現場の最高責任者でありながら、経営の片棒を担いでいる、そういう認識でクラブ全体を見渡していたはずです。
そんな中で、仲間だと思っていた経営陣の不祥事により、不当に勝ち点を奪われたときの気持ちはどうだったでしょうか。
潮時を悟ったタイミングで、新経営者からクラブに慰留されたときの気持ちはどうだったでしょうか。
新たな同僚がやってきて、共にクラブを立て直そうと誓った半年後、後ろから刺されるように、自身の進退を外部の人間から聞かされたときの気持ちはどうだったでしょうか。
普段何か言っているようで何も言わない彼にしては、先日の記者会見で浮かべた苦悶の表情が、あまりに饒舌に自身の心境を表現していたように見えました。
ユヴェントスに関わるすべての人たちは、クラブをより良い方向に進めるために、各々が最善の手を打ち続けているはずです。
ぼくらは極東の隅っこで、聞き漏れる話にそっと耳を傾けることしかできません。
これから迎えるオフシーズン、誰とどのような別れになっても、それは新しいサイクルに向かうことを目的としたものになるのでしょう。
それらはクラブが行った決断であり、ぼくらは受け入れるのみですが、せめて功労者には敬意を持って接し、遺恨を残さぬように別れてほしいと願うばかりです。
では、また。
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