
今季のユベントスにおいて、ケナン・ユルディスの存在は単なる「期待の若手」では済まされないものになりつつある。2005年生まれ、トルコ出身のアタッカーは、昨季からトップチームで台頭し始め、今シーズンはすでにクラブの中核に近い存在として扱われている。移籍市場での他クラブからの関心を一蹴し、ユベントスとの長期契約延長に合意したという事実も、クラブが彼に寄せる信頼の大きさを如実に物語っている。
イゴール・トゥドル体制下において、ユルディスの立ち位置は極めて重要だ。モッタ時代に整備されたスカッド構成の多くは、指揮官の交代によって再調整が必要となった。トゥドールは明確な戦術思想を持ち込みつつあるが、その中で柔軟性と独創性を持ったアタッカーは貴重な存在だ。ユルディスはその役割を果たす数少ないタレントの一人であり、彼のドリブル、ポジショニング、そして何よりも状況判断の速さは、まだ若干19歳とは思えない成熟を感じさせる。
また、精神的な側面でもユルディスの貢献は大きい。ビッグクラブからのオファーが相次ぐ中で、彼は迷いなくトリノ残留を選んだ。それは単なる「出場機会の確保」ではない。ユベントスというクラブの中で成長したい、勝利に貢献したいという強い意志の表れであり、クラブの将来に対する責任感すら感じさせる決断だった。こうした姿勢は、ベテラン勢やサポーターにも良い刺激を与えている。



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