冬の移籍市場シリーズ第一弾となる「ディフェンスライン編」はこちらから。
ミッドフィルダー
この冬のマーケットで最も「獲得」の噂が挙がらないのがミッドフィルダーだ。現在のチームが採用する4-2-3-1システムでは、トップ下とツーボランチの3人のミッドフィルダーがピッチに立つことになる。ユベントスには「コープマイネルス、ロカテッリ、テュラム、ドウグラス・ルイス、ファジョーリ、マッケニー」の6選手が揃い、さらにニコ・ゴンザレスもトップ下での起用が可能だ。現時点で頭数は十分といえるが、モッタがスターティングメンバーの選出に頭を悩ませている様子はない。
トップ下のファーストチョイスはコープマイネルス。夏のマーケットでアタランタから実に6000万ユーロの移籍金で獲得したオランダ代表だが、モッタの敷く4-2-3-1システムにはフィットせず、苦しい時間が続いている。現地では「幽霊」と揶揄される中、後半戦での巻き返しに期待がかかる。
ボランチでは、いまや「ユベントスの顔」となったロカテッリが舵を握り、全体のバランスを取る。もはや「チームの心臓」といっても過言ではない存在だ。そのロカテッリの相棒となるのは新加入のテュラム。2000年代初頭にユベントスで活躍したリリアン・テュラムの息子で、父譲りのダイナミックなプレーで中盤を牽引している。また、今シーズン開幕前に放出話が浮上しながらも残留を果たしたマッケニーは、類まれなユーティリティ性を活かし、現在緊急事態となっているディフェンスラインの穴埋めを担当中。冬の補強でこの“出向”が解除されれば、彼はロカテッリやテュラムらとポジション争いを繰り広げるだろう。
問題は、ここまで名前が挙がらなかった2選手だ。シーズン序盤はレギュラー扱いだったファジョーリだが、シーズン中盤を迎える前に突如モッタの構想外となった。その理由は明らかではない。監督就任直後に複数選手を戦力外としたモッタの明確なスタンスが、ユベントス生え抜きの若手MFにまで及んだ格好だ。冬の放出はないようだが、出場機会が増えるとは考えにくい。
もう1人の構想外はドウグラス・ルイス。夏のマーケットで即獲得が発表されたブラジル人ミッドフィルダーだが、アストン・ヴィラ時代の輝きや5000万ユーロの移籍金への期待に反して、現時点では全く結果を出せていない。クラブはこのタイミングでの放出を否定しているが、彼の復活が「冬の補強」となることを期待しているのだろう。
アタッカーやディフェンスラインの補強を優先するチームにおいて、頭数が揃っているミッドフィルダーに手を回せないのは明らかだ。それゆえ現状維持となっているが、6人のミッドフィルダーのうち、実際に機能しているのはロカテッリ、テュラム、そしてディフェンスで起用中のマッケニーの3人のみ。コープマイネルス、ファジョーリ、ドウグラス・ルイスは現状「機能している」とは言い難い。モッタとしては選手の入れ替えを望むだろうが、コープマイネルスについては自身が獲得を望んだ手前、「信頼している」と公言している(本心は定かでないが)。
ミッドフィールドの冬の補強がないからといって、盤石な状況ではない。むしろギリギリの状態で戦っていることを忘れてはならない。個人的にはファジョーリにチャンスを与えるか、4-4-2への変更で問題は解決すると思うが、モッタがその両方に手を加える可能性は低い。その頑固さが自らの首を絞めなければよいのだが。
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次回は、ムバングラやユルディス、コンセイソンといった若手選手が躍動するサイドハーフについて書かせて頂く予定だ。
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