この7月から始動したモッタ・ユベントス。どうもコーチのSimon Colinet(シモン・コリネ)が『ヤバい』らしいです。
彼についてはガゼッタ・デロ・スポルトでも「ユーヴェを圧伏するチアゴ・モッタの影武者、コリネとは何者か」というタイトルで記事となっています。
記事には彼の人柄と掲げるマニフェストによって、すでに多くのユベントスにかかわる人々の心を掴んでいるということが書かれてあります。
このシモン・コリネがユベントスでくり返している言葉が2つ
①「攻撃的でないものは存在しない!」
②「There is no more rest!」
まだ数少ないトレーニングの機会ですが、このフレーズは絶え間なくこのフランス人コーチの口からくり返されているようです。
「モッタ・ボール」に必要なことは常に攻撃的であろうとすることです。ボールを失った瞬間、ボールを奪いにかかるという『攻撃』が行われます。トランジションの強度を極限まで上げてゲーゲンプレスを実施するということは、何よりもそれを試合で絶えずくり返すことができる体力か必要なわけです。
今までのユベントスはリスク管理に重きをおいていました。ボールを失ったときの最重要項目は自陣に守備の枚数を揃えることです。失ったばかりのボールに近い選手は単騎でのプレスにかかりますが、中盤以下はリトリートすることが多かった。特に強豪とされるチームと対戦するときはその傾向が強かったものです。
実際このサッカーで粘り強く勝ち点を獲得し続けたから、今季のCL出場権を獲得しました。久しぶりの欧州の舞台です。しかしフロントが一定の結果が伴っていたこの受動的なサッカーを選択せず、より能動的なサッカーを実践する監督を選択したことは皮肉だと感じるとともに大きな挑戦であるとも思います。
このプレシーズン、SNSや公式サイトから発信されるトレーニング中の選手たちの姿はとてもしんどそうに見えます。それは暑さによるものかもしれないし、長きにわたるシーズンの疲れがとれないからかもしれません。しかしおそらくコリネによってもたらされたトレーニングによって強度が格段に上がったからだろうと思われます。今までのようにリトリートしてゆっくり息をつく暇はもうなくなったのです。トレーニングにおいても「もう休む暇はない!」なのです。
今までとはちがうこの考え方がユベントスの新しいアイデンティティとなるのでしょうか。ファンは多くの期待を持って見守っていますが、結果が伴わなかったときはシビアになるでしょう。「やはりユベントスのDNAは守備だ」という声も挙がるかもしれません。それでも今は「攻撃的なユベントス」に夢を見続けていたいものです。
私がすごく印象に残っているオフショットのシーンがありました。
ドイツでのトレーニングの間、自転車で選手たちが移動しています。カンビアーゾがミレッティに声をかけます。
「There is no more rest!」
コリネさん、真似されてる!このイジりが信頼関係が築かれた上でのものだと信じたいものですが、思ったことなんでも言っちゃうカンビアーゾなのでどうなのかはまだよくわかりません。今季はこのコリネさんのしごきに選手たちが「Grazie!コリネ!あんたのしごきに礼を言うぜ!」となるのか、もしくは「あいつ、やっちまおーぜ!」と反旗を翻すことになるのか…何だかよくわからない目線からチームを見るのも楽しいかもしれませんね。
この熱いフレーズ、ファンの間でも「ここはユベントスだぞ!」に続く『ユベントスを象徴する言葉』となってほしいです。
さあ、すぐにシーズンは始まります。There is no more rest!
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