歩いたのはクララではなくてフェデリコ!オレたちのフェデリコ・キエーザが歩いた!
アルプス少女ハイジ第51話のタイトルは『クララが立った』。かれこれ45年以上も前に放映されたアニメになりますが、なんだかんだで再放送があったり、バラエティ番組で使われたりしていたので、このクララが立ったシーンについては目にした方も多いのではないかと思います。
2022年1月10日。ローマとの乱打戦を制したユベントスですが、この一戦においては「マッティア・デ・シリオが4年に1度のゴールを挙げた試合」であると同時に、「フェデリコ・キエーザが大怪我を負った試合」として覚えている、いや忘れる事が出来ないユベンティーニも少なくないのではないでしょうか。
ユベントスに加入した2020-21シーズン開幕直後、確かにフィオレンティーナでは目立った、そして尖った姿を見せていたキエーザですが、総額5000万ユーロの取り引きと聞いて、私は少なからず疑問符を付けていました。「いやいや、あんな独りよがりのプレーがユベントスで通用する訳がないでしょ」と。
案の定、キエーザはユベントス加入後も深い位置から仕掛けてはボールを失い、そして無謀とも思えるドリブルで突っ込んではロナウドに呆れられ、「ほら見たものか」と私も心の中で呟いていたものです。しかし、その後の活躍は言うに及ばずであり、当時の私が呟いたのがTwitterでもなくブログでもなく「心の中」だった事が幸いしました。公の場で口にしていたならば、余りの見る目の無さに『月刊ユベントス編集長』の肩書きは、『欠陥ユベントス編集長』となっていたかもしれません。いや、これだと欠陥があるのが私ではなくユベントスになってしまうか…。
さてさて、「その後の活躍は言うに及ばず」と書いた通りに言うまでもなく、説明するまでもなく、アタランタ戦で、スペイン戦で、そしてチェルシー戦で、幾度となく劇的なゴールでチームを救って来たキエーザは、「フィオレンティーナのキエーザ」から「ユベントスのキエーザ」になり、今では「イタリア代表のキエーザ」として世界に名を知らしめる事となりました。
しかし残念ながら1月10日に行われたローマ戦において、キエーザは前十字靭帯を損傷。その後、手術を受けて成功はしたものの、復帰までに要する時間は7ヶ月。「来シーズンの開幕に間に合えば御の字」と言った感じになっており、キエーザ本人にとってもそこまでの道のりは、遥か先のものになっているに違いありません。
#Chiesa 2 mesi post crociato è mobile quanto Rabiot al 100%… Mentalità pazzesca!💪 ⚪⚫ pic.twitter.com/DL4Klm3972
— Giacomo Scutiero (@SCUtweet) March 7, 2022
そして先日、術後は安静としていたキエーザが、自身のSNSで歩行する姿を公開。スピードスターの面影もない辿々しいものではあったものの、この姿を目にして喜んだと同時に、「今のチームにキエーザがいれば」との思いに至ったファンもいたかもしれません。しかし、我々が考えるべきは「キエーザがいれば」ではなく、「キエーザにどんな舞台を用意するか」ではないでしょうか。
「フェデリコ・キエーザがプレーする舞台はヨーロッパ・リーグではなく、チャンピオンズ・リーグ」
そんな想いを馳せているのは私だけではないはず。来シーズン、復帰するキエーザをヨーロッパ最高の舞台で迎え、そして我々は「決めた決めた、キエーザが決めた!わーい」と口にしようじゃありませんか。